やけに寒いと思っていたが、それもそのはず、雪が降り校庭を銀世界に変えていた。授業が終わった後、皆が窓に集まり雪だ雪だと子供のようにはしゃぎだす。 桃はそれを寝起きのぼんやりした目で眺めていた。後からも窓辺に駆け寄って来て、背伸びをして松尾の肩越しに外を見た。きれいな瞳をかがやかせて、やがては微笑んだ。 「ホワイト・クリスマスだな」
なんだか楽しそうに言ったに、塾生全員が冷たい視線を突き刺す。
ホワイト・クリスマスクリスマス企画! 男塾:桃編
「まったくよう、つまんねえこと思い出させるんじゃねえぜ!」 富樫に叱られ、さっき雪を見た喜びはどこへやら。はしゅん、とうなだれた。 「いいか、俺ら塾生はシャバとの縁はとっくの昔に切れてんだ! クリスマスなんてくそっくらえだ! クリスマスなんか……」 虎丸は涙を流し、をにらみつけた。
「わかったよ、悪かった」 鬼のような形相で虎丸がに顔を近づけてくる。離れるように、離れるように後ずさりしても間を縮めてくるので困ったものだ。
「いねえよ」 この場から逃げ出すため、苦し紛れに言ったことだが、虎丸と富樫は単純にうなずいた。近くにいた松尾や田沢らなんかは、腕まくりなどをして早々と外に出て行った。教室を出る時、は桃を見て、 「一緒に行くか?」 と聞いた。すると桃は立ち上がり、首を左右に振った。 「今日はもう帰る」 そう言っての横を通り、教室を出て行った。 「桃のやつこそ、女がいるんじゃねえのか?」 桃を見送ってから、富樫がつぶやいた。それを聞いて虎丸、がにらみつける。
「俺をにらむなっての! にらむなら桃をにらめ!」
二人はそんなことを話しながら教室を出た。後に残ったは、桃に彼女がいてもお咎めナシかよ、とつぶやきつつ、もぬけの殻になった教室を見て仕方なく戸締りを始める。 拳を握りしめながら外に出ると、雪だるま作り計画がいつの間にか雪合戦に変更となっていた。顔面に誰かの投げた雪があたる。あまりの冷たさに驚き、うひゃあ、と声をあげた。 「ぼーっとしてるからだぜ!」
虎丸が遠くでからかったので、虎丸のいるチームとは別のチームに加わり、やつとやり合った。がむしゃらに雪を丸めて、投げる。なんとなく、ストレス発散だ。 「おい、、お前泣きそうだぞ?」 横にいた田沢が心配したのか、顔を覗き込んできた。松尾も、その他のやつらもの周りにくる。
「打ち所が悪かったのか?」
逃げるように校庭を後にし、男塾から出た。
「桃、お前何やってるんだ?」 丸テーブルの上にシャンパンとケーキを出している。 「早かったな」 状況がのみこめず、はそこに立ったままだった。
「お前、彼女は?」 桃はに座るよう言い、自分はどこから用意してきたのか、グラスにシャンパンを注ぎ込んだ。グラスも、皿も二つある。
「全員の分はないが、同室仲間でやるには充分だろう」 そう言いつつもは、嬉しくなって自分からグラスを取り、乾杯をした。
ホワイト・クリスマス:終
以上、桃クリスマス夢でした。 桃のキャラ、違うような気がせんでもないですが、そのままGOってことで・・・はい。 冬里
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