眉間
バチン!
「…」
「…」
執務用の机に身を乗り出し、困惑気味の邪鬼の眉間に、は翔キュウ操弾の撃ち方のような右手を出し、勢いよくバチンと弾いた。
「…あれ?なんで避けないの」
「蚊ほども感じんぞ…」
「其処まで非力じゃないです!」
は納得いかないように、また弾いた。
「…いい加減にしろ」
何発もやられ、仕事の邪魔をされて、邪鬼は少し怒っていたというか…呆れていた。
一体何がしたいのか。
「まだ、もうちょっと…!」
「…弾いた分だけ弾き返すからな」
少し眼光を強くしてそう言うと、はズサササッと音がしそうな程勢いよく後ずさった。
「頭骨がブッ飛ぶ!!」
「そこまで強くせん…」
「いや、邪鬼さんの場合、洒落になりませんて!」
イヤイヤと頭を振って止めてくださいと訴えるに、邪鬼はため息を一つ。
「わかった、しないから、何故あのような事をしたのだ」
「実験です」
この場に影慶が居なくて良かった…と思った邪鬼だった。
「何のだ?」
「眉間って…こうやられると、なんだか不思議な痛みを感じません?」
はまた近づいてきて、あと一センチと言う所で眉間を人差し指で指す。
邪鬼は何がだ、との人差し指の先を見ようと…
「どうした、」
はワナワナと震えだし、やっとというように口を開いて言った。
「写真…撮ってもいいですか」
「駄目だ」
勢いよく肩を落とし、はまた気を取り直して、人差し指を一度離してゆっくりと近づけ、トンと眉間を突いた。
「あれ、何とも感じません?」
「…?あぁ。特に何も感じんが」
邪鬼の反応が気に入らないのか、は手を腰に当てて何故だろうと唸る。
「俺は何も感じんが、は何かを感じるのか」
「あ、はい。こう…なんて言うか。すぐに指している指を弾きたくなるほど嫌な痛みを感じます」
自分にも指を指し、すぐに嫌そうな顔をしては手をおとした。
「いえですね、邪鬼さんぐらいの使い手でも、同じように感じるのかなぁ、と」
「それは残念だったな」
邪鬼は興味を失ったように、仕事をしだした。
はといえば、話の途中なのに!と憤慨する。
「ちょ、話を聞きながら仕事しないでくださ…」
「そういう実験は拳法を使う女友達にでもやれ」
ズバッと言われては頬をふくらました。
腕を組んで顔を背け、何よ何よ邪鬼なんて〜とブツブツ言い出すと…
「二人きりで居るときのお前には…何の警戒もしていないからな」
その言葉にバッと顔を正す。
見てみればいつも姿勢良く、下を向いても少し傾ける程度で顔が良く見えるのに、今はギリギリ見えないほどに顔を傾けている。
「それって、無防備…あぁっ!お、お、お茶淹れてきますー!!」
は急に顔を真っ赤にし、勢いよく執務室から飛び出した。
邪鬼は閉まりきらなかった扉を見て、恥ずかしそうに頬を掻き、いつも固く結んでいる口元を僅かに緩めた。
神楽里の神羅 煌さんに相互リンク記念として戴いた邪鬼様夢です。
読んだ時、このラヴラヴ甘々なノリに思わずニヤリと怪しげな笑みを漏らしてしまいました。
最後の邪鬼様が吐く甘いセリフ。
思わず「あっまーい! 甘いよ邪鬼さん」(スピードワゴン井戸田風)と叫んでしまいます。
ああ、いい夢が見れそうです。
神羅さん、ありがとうございます! 遠慮なく戴きます!!