「藤堂さん、どうしてるんだろ」
海軍操練所の廊下を歩いていると、海が近くに見えた。潮の香りがする。
新選組のこと
藤堂平助に誘われたのは、両親が亡くなってから数年経った頃だ。少年の姿にも慣れていた。女子だと売られるから。養父母の目を誤魔化すために男装していただが、男であればこき使われる。体もぼろぼろで、いっそ女に戻って売られようかと思っていた矢先だ。 「女子みたいに綺麗ねえ」
沖田総司の姉、沖田みつはそう言って旅支度を整えてくれた。 「女子みたいな奴だなァ」
そう言ったのは芹沢局長か。酒に酔うと乱暴な人だった。よく「本当に男かどうか確かめてやる」と言われたか。 藤堂がの正体に気づいたのは、月明かりの夜だったか。
皆と風呂に入ることができないので、夜中に井戸の水を浴びていた。 「?」
呼ばれて、咄嗟に胸を隠して振り向く。 「お、お、お前、女?」
驚いていた。 「お願いします、誰にも言わないでください」
裸だ。土が水に濡れた肌に吸い付く。 「誰にも言わない」
それ以来、は以前よりも藤堂を慕うようになった。
自分でも不思議だと思う。 「よお、来たか!」
を迎えたのは坂本竜馬だ。 新選組のこと:終
一応、過去にも触れておきたいと思って番外編チックなものを書いてみました。 年代的に言えば、様が新選組を去ったのは芹沢さんが暗殺される前で、局中法度など無かった頃。 そん時の新選組には脱退者がたんまりいたそうな(昔話風) 次回こそは亀山社中時代を! 冬里
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