連盟公式スタジアムに着き、その人の多さに驚いた。 いろんなユニフォームの、いろんな人たち。 B・Aがその間を通り抜けていこうとすると、皆が道を譲ったのも印象的だ。 は初めて公式戦を見る。 少し胸がはずんだ。が、同時に不安な気持ちもわいてきた。
地区予選(前)「B・Aは全国制覇のために結成されたクラブチームだ。今回の地区予選は当然、優勝しなければいけない。いいな?!」
嵐の檄に全員が、おう、と気合の入った掛け声で返した。
思えば、皆、ずっと厳しい練習を続けてきたのだ。 「」 呼ばれて振り向くと、みさとがいた。
「みさと、久しぶり! この前はありがとね」 二軍のメンバーが微妙な顔をしたが、気にせずにうなずいた。
「行こう、」 みさとが、下に行ってこの目でトーナメント表を確認しようと言う。は二軍のメンバーに、行ってくると告げてみさとについて行った。
「じゃないか」 聞き覚えのある声が上のほうから聞こえた。見上げると、陸王だった。
「陸王くん」 そう言って、陸王はを見つめた。はにっこり微笑み、よかった、と言った。
「よく、俺がピーナッツ好きだって分かったな」 そうか、と陸王は目を少し細め、笑った。ライオンが笑ったら、こんな感じになるのかな、などとはぼんやり考える。 「で、誰かを探してるようだな」 言われて、はっと気づいた。
「そうだった。嵐くんたちを探してたの」
陸王が指す方向を見ると、人と人の間に高山の姿が見えた。
「びっくりした。何?」 腕。そういえば、ケガをしていたのだった。いろんなことがあって、忘れていた。医者から包帯を外されて、だいぶ経ったように思う。 「うん、もう大丈夫」 それを聞くと、陸王は手を離した。ほっ、と安心したような表情だ。 「よかったな。いきなり掴んだりして悪かった」
ううん、と返事してから、陸王に手を振ってその場を離れた。
陸王の後ろに白川が近づいて、言った。
「なんだかんだ言って、見てくれに弱いんですか」 白川の言葉を陸王は制した。 「の中身に惚れた」 表情を変えずさらりと言う陸王を見て、白川の方が恥ずかしくなり、顔が赤くなった。 高山に向かって、人をかきわけながら歩いていると、 「様」 と、声をかけられた。様って何? と思いつつ振り向くと、五十嵐だった。
「あら、お久しぶり」 どうしてさっきから敬語で話してるんだろう。が疑問に思っていると、五十嵐の後ろに他の聖アローズメンバーがやってきた。
「お久しぶりです、様」
東山と、楠木だった。 「わかった、急ぐから後でね」
と、無責任なことを言い残して手を振り、去った。
「一回戦、どこだろうな」 緒方と不破が話しているところで、大勢のわっという驚きの入り混じった歓声があがった。舞台を見ると、ちょうど陸王がクジを引き終えて結果を見ているところだった。貼られたトーナメント表に、荒崎小の文字が書かれる。その横に、B・Aの文字があった。 「行こうぜ」 服部が呼びかけ、それに応じて皆で舞台に近づいた。 一回戦。B・A対荒崎小。
その事実を改めて知った。 「一回戦から優勝候補どうしの対決だ」
周りの人が盛り上がっている。 「いずれにせよ、戦わなければならない相手だ。一回戦で当たったとはむしろ都合がいい。試合疲れしないうちから全力で戦えるからな」
嵐が、メンバーに檄をとばす。 「みんな、」 呼びかけると、全員がの方を向いた。 「必ず、勝ってね」
念を押すように、声をかける。すると、皆が大きくうなずいた。 「マネージャーは仕事があるだろう。特等席だ」 コートの近くのベンチを指された。そこには、すでにタオルやスポーツドリンクなどが入ったバッグが置いてある。補欠として控えている二軍も座っていた。そのうちの誰かが運んできたのだろう。 はうなずき、ベンチに向かった。
「ゴーファイト!」
『地区予選(前)』:終
ええと、地区予選でいろんな人に会ってチヤホヤされようイベントでした。って意味ないし!(←コラ!) あと、白川のこと、今まで白河って表示してましたね。もう、アホです。 アホついでですが、原作が手元にないので荒崎対B・A戦を詳しく描けません。記憶力に頼ってみます。 冬里
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